今年、当社が新規採用した学生は5名、すべて女性である。昨年も4名を採用しているがこれまた全員女性。ちなみに今年の受験者は58名で、ほぼ男女半々。だが、圧倒的に女性が優秀だ。
この傾向は当社に限ったことではないらしい。理由は京都、大阪の大企業が優先的に男性を採用しているからだ。今の日本のビジネス社会はまだまだ男性優位なのである。
一頃、当社も無理をして男性を採用しようとしたことがあった。しかし、これは全く愚かなことだった。なぜなら、終身雇用制が崩れた今の時代では、男性社員なら長く勤務するという保障はどこにも無いからだ。
一方、女性の場合は結婚や子育ての理由で退社する場合が多い。だから企業が結婚や子育てを前向きに理解していけば、いくぶん問題解決の余地がある。
「そんなことをすれば女性ばかりの会社になってしまう」という声もあるが、それならそれでも良いと思う。
平成13年の厚生労働省の統計によると、約7割の女性が出産によって職場を離れている。その理由は以下の通りである。
- 自分の手で子育てしたい・・・53.6%
- 仕事と子育ての両立に自信が無い
・・・32.8%
- 時間の関係で子供を育てながら働けない
・・・23.3%
- 育児休業制度が使いづらい・・・17.9%
「自分の手で子育てしたい」というのは女性の本能的な気持ちだろうが、少子化の時代だからこそ、早くから子どもを保育園で集団生活をさせ、「子育て素人の母親」が我が子を溺愛する弊害をなくするべきだろう。
我が家では思い切って孫を生後6ヶ月で保育園に入れたが、この時期だと「人見知り」が無く、極めてスムーズだった。今、2歳半の孫は保育園をもう一つの家だと思っている。
親が一日中、ダラダラと子どもに接するより、むしろ気持ちを集中して子どもに愛情を注ぐほうが育児ノイローゼを防止する意味でも正しいのではないだろうか。
2、3、4については企業の姿勢によるところが多い。それゆえ、専門的な知識や技を身につけた女性スタッフを失うことのディメリットを考えると、企業は子育てに積極的に協力する方がはるかに得策である。
世界の先進国レベルで見てみると、女性が結婚や出産で職場を去るのは日本や韓国だけに見られる傾向であり、スウェーデンをはじめとするヨーロッパ諸国では考えられない。
一方、結婚や出産に対する考え方もヨーロッパ諸国では大きく変化してきている。たとえば、婚外子(結婚していない女性が産んだ子供)の割合が近年急増しており、スウェーデンやフランスでは50%を超え、その他の欧米諸国でも30%を超えている。ちなみに日本は1.8%と極めて低いが、この反面、日本は中絶王国になっている恐れがあり、問題は深刻である。
少子化は地球環境の負荷を軽くするという点で歓迎するべきだという考え方もあるが、それにしても現在の日本の女性の出生率が1.25というのは低すぎる。これは簡単に言えば、世代が代わる度に人口が半分になっていくということだから多くの問題を引き起こすことになる。
また、これを移民で補おうという考え方もあるが、急激な移民政策は宗教やナショナリズムのギャップを引き起こすゆえ、安易に頼るわけにもいかない。
とにかく今、「男は仕事、女は子育て」という役割が大きく崩れ、この変化の中で社会が大きく回転しはじめている。家族を守り、企業を守り、国を守っていくために、我々は待ったなしで「発想の転換」と「決断」を迫られている。 |